司☆キュンのグルノーブルへの移籍が正式発表されました。
MF 梅崎司選手 グルノーブル(フランス2部)へ期限付き移籍決定のお知らせ
下記の通り大分トリニータ所属のMF梅崎司選手がこのたびフランス2部リーグのグルノーブル(Grenoble Foot 38)に期限付き移籍することが決定致しましたのでお知らせ致します。【梅崎司選手のコメント】
「このたび、グルノーブルにレンタル移籍することになりました。昨年は試合に出られるようになり、A代表にも入れ、とても成長できた1年でしたが、納得できない部分も多かったと感じていました。そういう中で、このような話をいただき、自分は昔からチャレンジしてきた人生でしたし、世界のトッププレーヤーになりたいという夢もあり、ここで勝負したいと思い決断しました。大分ではユース時代から5年間は大変お世話になって、本当に成長できたと思います。これからは大分の、そして日本の誇りを持って戦っていきたいと思います。最初は半年間ですが結果を出して、もっと上に行けるように頑張っていきたいと思います。」
大分と3年契約を結んだ上での、1月31日からの5カ月契約で、完全移籍のオプション付。大分にとっては、最大限に希望が通った有利な契約だと思います。司も頑張り次第では、完全移籍もあるわけで、昨日のグルノーブルの「要は、タダでくれ」的な条件からはかなり前進した決着ではないでしょうか。今回の大分のフロントはいい仕事をしたといってもいいと思います。
今回の司の移籍騒動で一番心配だったのは、悪しき前例となるのではないか?ということでした。
最近で言えば中田コの移籍のように、欧州のチームが声をかければ、日本の選手は無条件でついてくるという前例は絶対に作ってほしくなかったのです。
ジェフユナイテッド市原・千葉のGM祖母井秀隆をGMとして招聘したように、グルノーブルは日本人選手のコネクションをどんどん強くしています。スポニチの記事によれば、ユース年代の育成として、日本の中・高生をフランスに呼び、そこから欧州を目指すシステムも作る予定だそうで、伊藤翔を獲得したのもその始まりでしょうし、司の獲得に動いたのも同じでしょう。若手を売れる選手に育てて、売ろうというわけです。
だた売れる選手を作ろうにも人口15万、周辺地域を入れても40万しかいないグルノーブルでは限界があります。しかし日本人なら、人口1億人の中から有望な若手を格安、あるいはタダで手に入れる事が可能です。若ければ若いほどその可能性は高くなります。「欧州に行きたい」という夢を利用すればいいのだから。
考えてみてください。たとえばガンバ大阪ユースの宇佐美君にグルノーブルが手をつけようとしたら、と。セレッソ大阪の柿谷は? 日本の宝ともいうべき育成年代の少年に「欧州でプレーするなら、欧州のチームにいたほうがいい」と甘い言葉をささやいたとしたら?
言ってはなんですが、グルノーブルは欧州といってもフランスの2部。選手も全員がプロというわけではないようで、2005年末の時点では、プロ契約は16人しかいなかったそうです。歴史も浅く、地元の複数のアマチュアチームを合併してからまだ9シーズン目。実は大分よりも若いチームなのです。そんなチームに、欧州だからといって移籍しても、はたしてどれだけのメリットがあるのか?と思ってしまうのもしょうがないのではないでしょうか。
ではなんでグルノーブルがここまで日本で注目されているのでしょう。それはもちろん親会社のインデックスがあるからです。
インデックスは言わずとしれた日本企業。携帯コンテンツから大きくなったいわゆる新興のIT企業です。インデックスは国内外の企業を買収して、大きくなっていきました。そのインデックスがなんでグルノーブルの親会社になったかというと、フランスの携帯向けコンテンツプロバイダである123 Multimedia社を2004年の8月に子会社化したことに始まります。IT化を推進するグルノーブル市の仕事を受注したことをきっかけに、市全体のIT化を総合的にプロデュースすることになったインデックスは、2004年の末に株式の50.0003%を取得してグルノーブルフット38のオーナーとなりました。
「インデックスの投資は欧州戦略の一環だ。クラブオーナーともなれば事業展開をする上での信用度は抜群になる。市としてもクラブ経営の負担から逃れられるし、携帯事業の技術提供が受けられる。願ったりかなったりだ」(スポニチ)おそらくこれに加え、日本での会社の知名度を上げるためもあるでしょう。要は「名前を売るため」にチームを買ったわけである。
では、グルノーブル市との契約が解除された時、はたしてインデックスはそのまま親会社としてチームを維持するでしょうか? 欧州での仕事が少なくなったら? 会社の経営がうまくいかなくなったら? 撤退はなくても、出資を控え、持ち株の比率を減らすことは十分に考えられます。
その時、チームに所属している日本人選手はどうなるのでしょう? 育成のために日本から呼んだユースの選手は? 日本の宝の少年達が、途中で放り出されるとしたら?
こういってはなんですが、インデックスからサッカーへの愛情は感じられません。名前を売るために手近なチームを買った企業は、苦しくなれば売るのも早い。売った後は知らん振りです。アフターサービスなんてあるわけありません。
グルノーブルフット38は、グルノーブル市の大切なサッカークラブです。大分のトリニータのように、地元を共に歩む「おらが町のチーム」でしょう。しかし、それはあくまでもグルノーブル市にとってです。株式会社インデックスにとってではありません。そしてここ一連のグルノーブルフット38への日本人の移籍を主導しているのは、株式会社インデックスなのです。
司がグルノーブルで過ごす5ヶ月間の間、どれだけのものを吸収してくるかはわかりません。すごく成長するかもしれませんし、思ったようにいかないかもしれません。グルノーブルはあくまでステップのひとつに過ぎないのですから、あせらず、でも一生懸命頑張ってほしいと思います。
できれば5ヵ月後、大分に帰ってきてほしい。そしてその時は伊藤翔もいっしょに大分に連れて帰ってきてほしいものです。
5ヵ月後の伊藤翔の加入と司の復帰をもって、今回の移籍騒動は大分の完全勝利として本当の結末を迎える。
そう考えれば、司☆キュンの5ヶ月間のワーキングホリデーも悪くないものです。フランスの戸棚にはきっと大きな牡丹餅が隠されてると信じましょう。
コメント (6)
投稿者: 通りすがり | 2007年01月27日 03:15
投稿者: 鳥日編集部 | 2007年01月27日 09:04
投稿者: 碧と黄色の毎日管理人 | 2007年01月27日 11:05
投稿者: まったく | 2007年01月27日 12:05
投稿者: セレサポ | 2007年01月28日 00:29
投稿者: 鳥日編集部 | 2007年02月15日 00:08